防災・減災ワーキンググループ:新型コロナウィルス対策の読み方>3月6日の検査の公的保険適用と今後から見えてくること

新聞記事、政府発表から、読み取るこれからのウィルス対策

3月6日に以下の東京新聞の朝刊の記事にもあったように新型コロナウィルスの検査が公的保険適用になるとともに検査体制が拡充、変化することの報道がありました。これは一体どういう意味なのでしょう?わかりますか?私たちにとって、何が変わるのか?実はまだ、見えてこないのが実態です、今回は、その厚生労働省の発表からの流れと展望、医療機関での背景などの見方をご紹介します。先ず、東京新聞の記事をご紹介します。

東京新聞:2020年3月6日付、朝刊2面

検査、医師判断で可能

きょうから保険適用

厚生労働省は六日から新型コロナウイルス感染の有無を調べる検査を公的医療保険の適用対象にした。これまで検査は保健所が認めた場合に限定していたが、医師が感染を疑い、必要と判断すれば保健所を通さずに可能となる。全ての医療機関で検査を受けられるわけではなく、主に感染防護が整った全国約八百六十の専門外来病院が対象。検査にかかる費用は特例的に公費で補填(ほてん)するため、これまでと同様、患者の自己負担はない。
 保険適用には感染拡大に備え、態勢を強化し、検査件数を増やす狙いがある。これまで検査は国や地方の研究所などに限られ、医師の依頼を受けた保健所が断るケースが問題となっていた。今後は保健所を介さず、設備の整った病院や委託を受けた民間検査会社で検査できるようになる。だが検査結果が出るまで数時間かかるため、簡易な検査キットの開発が急務となっている。
 現在の検査は「リアルタイムPCR法」と呼ばれ、患者が受けるには従来通り、各地に設置された「帰国者・接触者相談センター」に相談する必要がある。全国に約八百六十ある「帰国者・接触者外来」など感染対策が整った病院が紹介される。病院名は公表されていない。医師が検査の必要性を判断するため、希望すれば必ず受けられるわけではない。
 検査は病院内で実施するだけでなく、外部の民間検査会社などに委託できる。検査の価格は、外部委託する場合は一万八千円、病院内で実施すれば一万三千五百円。これとは別に判断料千五百円がかかる。

さて、これで何が変わるかといえば、保険適用と今まで受けられなかった検査が受けられる可能性が広がる(保健所を通さなくても大丈夫)ということです。実際に検査が6日から可能?なのでしょうか。外部民間検査会社に委託するから、いままでより断られずに検査を受けることができる?ほんとうでしょうか?では、今まで断られた人も急いで、病院に早速、連絡してみよう!となるのでしょうか。

この発表に伴い、6日からの実際の変化を以下に「民間検査会社」「厚生労働省」「指導的な立場にある医師会と各地域の医療機関」ごとにまとめたので、ご覧ください。

●民間検査会社:
新型コロナウィルスの検査受注体制、キャパシティなどを厚生労働省や地域に医療機関に連絡開始。

●厚生労働省:
民間検査会社から検査実績などを直接把握開始。
「地域において必要な患者にPCR検査を適切に実施するための体制整備」について3月4日付で都道府県などに事務連絡した。同省は、PCR検査の保険適応に際し、民間検査会社などのキャパシティを最大限活用するための「PCR検査リソースの効率運用の例(案)」を作成している。具体的には、PCR検査の実施体制の把握・調整などを円滑に行うための会議体(協議会)を都道府県に設置し、域内の状況把握や関係者間の調整を行うというもの。
一方、当面の間、民間検査会社における検査実績などを当該企業から直接把握し、都道府県や帰国者・接触者外来を持つ医療機関とも共有する。
また、民間検査会社の体制確立までの間は、検査発注は「帰国者・接触者外来」とする方針

なお、検査体制の充実を求めるとともに、検査実施体制の把握・調整等を行うための会議体設置を都道府県等に求めています。
検査実施体制の把握・調整等を行うための会議体には、▼医師会▼病院団体▼感染症指定医療機関▼地方衛生研究所▼衛生検査所協会▼帰国者・接触者外来を設置する医療機関―などが参加。「地域でPCR検査実施が可能な機関(医療機関も含む)」「各機関で1日当たり実施可能な検査数」を把握したうえで、地域内で効率的にPCR検査を実施できるような対策・方向を検討し、関係者間で調整することが求められます。例えば「受診者が一部機関に偏ってしまい、検査が実施できない」といった事態を避けることが狙いです。
こうした情報は、会議体から都道府県に、都道府県から厚労省に提供され、効率的な検査実施に向けたアドバイスにつなげられます。

●日本医師会、各地の医師会>各一般診療機関を指導、指示。:
PCR検査を求められた場合の対応を周知。日本医師会も3月4日付でPCR検査の保険適用について都道府県医師会および群市区医師会に「事前周知」
今回の保険適応に伴い、大学病院や民間検査施設等における検査が拡大され、検査実施数の増加が予想されるとしながらも、「検体採取は周囲への感染拡大リスクが高い」と指摘。
PPE(個人防護具)の着用をはじめ、適切な感染予防策が不可欠。
その上で、PPE等の入手が困難な状況にあることも含めて、
感染予防策を講じることのできない医療機関において、同検査の実施を求められた場合には、帰国者・接触者外来など検査体制の整った医療機関に紹介する対応をお願いするとした。
このほか実際の運用に際して、「事前に帰国者・背職者外来と受診時間などを調整することで、必ずしも帰国者・接触者相談センターを経由する必要はなくなると予想される」との見解も示した。

実は、各地域での検査体制の調査をしてから、検査体制を拡充するというもので基本は、相談センターへの検査依頼は当分、変わらないというわけです。もちろん、医療機関の中には独自に検査可能医療施設と個別に連絡をとり、体制を整えることもあるかもしれませんが、それは個別事例に過ぎないというわけです。以下に医師会が6日に検査体制の調査推進を各地域の医師会担当者に依頼する書面にあった概要図をご紹介します。全体を概観するには便利かもしれません。

どこまで、一般に情報公開をするか。その課題が見えてきます。厚生労働省の対策としては、なぜ、今日までこうした検査体制の調査をしようとならなかったのかという疑問がわきます。最初の感染から、当然予測でき、地域での対応を構築できる時間は、かなりあったように思うのですが、保険適用が政府から発表されてからとなり、3月6日。検査が進まなくて当然ということでしょうか。後手?少なくとも先手は打てていません。

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