小金井市審議会傍聴環境づくり:新シリーズ傍聴非常事態宣言 その3

今回は、いよいよ3回シリーズの最終回です。

新年度の第一弾として企画した本シリーズの最終回は、直接「社会教育委員の会議」という事例で「提言・答申の形骸化」への警鐘を鳴らすだけでなく、審議会という場で市民協働がどのように可能かという提案へと繋いでいきたいと思います。

残念ならが、前回の第2弾でお知らせしたように同審議会の「生涯学習支援センター機能の実現」という提言の実現はその第一歩となる小金井市の公式サイトでの「生涯学習」コーナーの改訂という具体化から、つまずいて、まだ実現に至っていないという現実をお伝えしました。こうした色々な事情が重なっての現状を打開するには市民として、審議会にどのように関わっていけばいいのかというのが今回の最終回のテーマです。

市民協働施策のその1:1年間放置された「生涯学習支援センター機能の実現」への施策はどのようにすれば、放置されないようにできたか?

この問題は、もう一度、第2弾でご紹介した提言を読み込むことから、ご説明していきたいと思います。前回お伝えしたようにこの提言には、「生涯学習支援センターの機能について(あるべき機能の提示)」と「行政に求める役割について(実現にむけての行政の活動指針提示)」がありました。実は、もう一つ、「計画上の位置付け」という項目もあったのです。これは、現状で生涯学習計画として推進されている長期計画との連携の重要性を説いたものでした。以下転載して、ご紹介します。

<転載部分>

4.計画上の位置付け

(1) 「第4次小金井市基本構想・後期基本計画」の策定にあたっては、生涯学習支援センター機能の整備について盛り込むことを望みます。

(2) 「第3次小金井市生涯学習推進計画」の策定にあたっては、基本計画との整合性を図りつ つ、生涯学習支援センター機能の実現の道筋を付けることを望みます。

<転載、以上>

つまり、この提言の出された平成25年時点で考えると1)小金井市の長期基本計画である第4次基本計画(10年間の計画)は、平成23年に策定され、その中には明記されなかったが、その前期の見直しの後に続く、平成28年から平成32年までの後期計画では、盛り込むことにしてもらいたい。さらには、2)平成28年に策定される市の生涯学習推進計画(平成28年策定で平成32年までの計画)には、明記して、しっかり実現への道筋をチェックしていきましょうという方法の提示です。これなら、定期的に実施への評価、見直し、改善が進み、実現していくだろうという目論見なのです。素晴らしい一項目です。では、どこまで盛り込まれ、推進されていくのかというそうした計画案を先ず見てみましょう。この第3次生涯学習推進計画は、平成、こちらからご覧いただけます。この計画では、「生涯学習支援センター機能の実現」は、「学び合うネットワークづくり」という章(48P)に記載されました。以下に転載して、ご紹介します。

<第3次生涯学習推進計画より、部分転載>

4.学び合いのネットワークづくり

4-5.生涯学習支援センター機能の整備

本市において、生涯学習活動を支援する情報ネットワークの整備や市民との協働によ る生涯学習の実現を目指すためには、その中心となる生涯学習を支援するセンター機能 が必要と考えられることから、本計画では、生涯学習支援センター機能について将来的 な整備に向けた検討を進めます。

■生涯学習支援センターの機能について
(1)様々に分散している生涯学習に関する情報を収集・集約し、整理した情報を共有・ 発信する機能
(2)市民・団体の多彩な学習活動を継続的に支援し、その成果を地域社会に還元する機能
(3)生涯学習を通じて家庭・地域・学校等の連携をはかり、市民・団体間の出会いと交流を支援する機能
(4)市民・団体及び行政との協働によるまちづくりを生涯学習の側面から支援する機能

<転載、以上>

センター機能についての提示のみです。しかも、この計画では、太字で明示したように「将来的な整備に向けた検討を進めます」という内容にとどまっているのが分かります。つまり、計画を検討するという段階という訳です。その意味では、計画づくりに邁進する5年間というわけです。残念なのは、提言の「行政に求める役割について」という内容は示されていません。しかし、確実にその計画立案が市民協働で行政に求められた人材の育成や他部署との連携などの方法と施策が進められればとこの段階では、実現でなく、計画立案という内容にとどめたのかもしれません。その上で次にまた、社会教育委員の会議の進捗(会議録での審議状況)に戻ります。

その2:審議会でその進捗が評価され、チェックされるだろう第3次生涯学習推進計画に「提言」の実現への可能性を摸索する

平成30年度の会議録には、「生涯学習支援センター機能」についての直接的な進捗についての報告や討議内容が見られなかったとは前回、お伝えしました。しかし、実はこの「第3次生涯学習推進計画」の進捗と評価作業はあったのです。第1回審議会(30年4月開催)の会議録から、「第3次生涯学習推進計画の評価について」という協議事項があります。会議録は、こちらからご覧いただけます。ただ、残念なことのこの会議で資料として提示された同計画の評価表は、観ることが出来ません。なぜなら、この審議会も会議録はWeb上で公開されているのですが、資料は公開されない審議会だからです。見たい市民は、第二庁舎の情報公開センターで調べるか、そこに無ければ情報公開請求をしないとこの資料は目にすることができないからです。前述のHPの改訂案などは、私が傍聴して、控えをもらって初めて、皆さんにご覧いただけるようになるからです。以下にこの評価表と先ほどの「生涯学習支援センター機能の実現」という計画の関係を以下に簡単にご紹介しておきます。

その3:計画の進捗評価の仕組みの課題と提言に関わる重要事項をいかに審議会で確認できるように討議を提案していくか

実は、評価表は、主にこの計画に事業化が進んでいる「重点プロジェクト」という推進計画の中でも行政側で特に強調して、評価しやすいように進めてきたプロジェクトを中心に評価が進められるのです。上記の第3次生涯学習推進計画でもこの重点プロジェクトが主に数値評価されます。残念ならが、提言の「生涯学習支援センター機能の実現」に向けての計画にある将来的な実現にむけた検討という内容は、実際には、具体的な市民協働による推進、計画立案、人材育成などが計画立案されて明示されていない(実質的に進んでいないため)ために評価対象になりませんでした。平成29年にHP改訂しか提案できなかった段階で、その他の要素の計画立案を進める提案が並行して存在し、「行政に求める役割」に関わる具体計画が立案され、行政と市民とで共有できていればこうした評価表に加わる内容になったかもしれませんが、その第一歩としてのHPの改訂は、進捗表には記載され、進捗評価の対象ともなりませんでした。もう一つの課題は、行政に求める役割にあった

(3) 既にある社会福祉協議会の市民協働支援センター準備室やコミュニティー文化課との連携を図ること。

という他部門との連携の推進という内容です。本来審議会は、担当する部門が運営管理するためにこうした他部門の情報は、ヒアリングしてきて、報告するにとどまることが多いのです、実際の当該部門の担当が出席して、説明したり答えたりということは稀です。それほど連携が難しいものなのです。部門を横断した委員会として当初より、設置されていないと部長以上の権限者が相互協力でもしない限りこうした連携は実現しないようです。もちろん、部長以上が連携するには、市長の諮問機関でもあるので市長の指示があれば簡単なのですが…。

ここで見えてくる課題は、現状、市民協働で策定され、継続的に行政で進められている計画を委員も傍聴者も読み込んで、その提言内容の進捗を常に把握して(傍聴しないと会議録・資料をWeb上で見ようとしても、時期を逸するといのが現状です。)、市民の目線で評価、改善提案できるようにするということなのです。もちろん傍聴者は、審議会では発言できませんから、設置されている「意見・提案シート」に記載して、次回の審議会にとりあげてもらい委員に討議してもらうなどといことでしか、こうした行動は実現できません。その意味では、こうした審議会の行方を市議会(=市議)なども注視し(傍聴したり、傍聴した市民からの意見を聞くなど)、要望や陳情、質問で議会で取り上げることも一つの方法かもしれませんが、今回はそのテーマが異なるので取り上げません。

ある意見では、審議会の「市民公募枠」に応募して、委員になって、質問したり、進捗をチェックすることを実現すればいいではないかということもあるかもしれませんが、また、関連社会教育団体をつくり、そこからの委員として出席するなどという案もあります(実際にそうして参加している委員もおられます)が、社会教育委員になると色々な参加すべき行事もあり、多忙になります。ここでは、「傍聴非常事態宣言」とした目的でもあるそうした人数を限定された(2~3名程度)公募市民委員と連携した多くの傍聴者となる市民(できれば時間的に限定されないWeb上で情報を確認して、声を上げることのできる市民)を増やすことを目標にしています。

この平成30年の4月段階で同評価表で上記の「提言」の実現への検討の推進が遅れており、早急に計画立案して実施すべきという意見を表明することがひとつでした。それでも行政側は、他の計画もあり、予算的にも人的にも手が付かない(HPの改訂ですら、こんな状態ですから…)ということになるかもしれません。では、どうするか?この次の策が市民側でその推進を担う組織や人材を集めるという方法です。もちろん、予算がないのでボランティアということになります。

その4:傍聴から始まる市民協働の萌芽となる「審議会サポート市民グループ」で「傍聴ランチ」「傍聴宴会」実施へ

基本は、行政のすべき活動のお手伝いということです。審議会内容を広く公開して、市民に理解してもらい、行政でできない部分を市民ボランティアで担おうというわけですから、行政が断る理由などある筈もありません。実は、市議会はWeb傍聴も可能なので、そのWeb傍聴を活用して、週末などに行う「週末Web傍聴」を推進していく予定ですが、審議会の場合は、平日の午前中、または夕方が多いので、先ず地元の飲食店などに協力を依頼して、傍聴後に傍聴者皆で食事をして、語り合う「傍聴ランチ=傍聴遠足」と「傍聴宴会」を考えています。その参加者からの提案でボランティアが行政に変わって企画立案したり、実施の支援をすることも視野に活動を進めたり、審議会の委員との交流会を実施したりできたら、良いかもしれません。そのためにも即日の資料公開(全ての資料が公開されているわけではありません)、「意見・提案シート」の設置(まだ、全審議会に設置されていません)を各審議会に求めていきます。「傍聴ランチ」「傍聴宴会」などに参加を希望される市民はおられるでしょうか?是非、興味のある方は、ご一報ください。

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