ハイデッガーの技術論とは

「放下」を考えるとしていますが、難しいのです。第四講まで、いたったのですが、「放下」については、まだ難しく良くはわかりません。ただ、第四講「原子力信仰とナルシシズム」にいたって、ようやく、まとめられそうでした。以下の1 復習ーハイデッガーの「放下」から、2 贈与・外部・媒介と至った点で、中沢新一さんの「人間の生態圏」という点には、合点がいきました。2011年「日本の大転換(中沢新一著、集英社新書刊行)」という、以下の転載をご覧ください。

>小金井市立図書館には、所蔵しています。

<転載部分>

中沢さんの議論の出発点にはあるのは、「生態圏」という考え方です。人間を含めた生命が生きている圏域、ゾーンのことですね。この「生態圏」について、中沢さんは次のようにいっています。

私たちの人類は、ほかのあらゆる生き物たちといっしょに、地球の表層部(地殻)を覆っている、厚さわずか数キロメートルにみたない、ごく薄い層にかたちづくられている「生態圏」を自分の場所としている。それは地球全体から見たら、じつにささやかな領域でしかない。(11P)

(中略)それに対し、エネルギー源である太陽で起こっている核融合反応というものは、生態圏の外部にあると中沢さんはいいます。

太陽は、その中心部でたえまなく起こる核融合反応から、莫大なエネルギーを取り出して、周りの空間に放射している。(…)核分裂反応を地上で持続させる原子炉は、それゆえ地球生態圏の外部の太陽圏に属する現象だとみなすことができるだろう。(21P)

この議論は、原子力を宇宙的過程とみなしたアレントのそれに近いと思いますが、中沢さんが参考にしているのは、アンドレ・ヴァラニャックという人のよるエネルギー革命の分類です。ヴァラニャックはこれまでの人類のエネルギー利用を次のように分類しています。

(*「エネルギーの征服-成熟と喪失の文明史(A・ヴァラニャック著)」)

第一次革命:火の獲得
第二次革命:農業・牧畜の発達
第三次革命:金属の獲得
第四次革命:火薬の獲得
第五次革命:蒸気機関
第六次革命:電気と石油
第七次革命:原子力とコンピューター

(中略)そして、中沢さんによれば、このような巨大なエネルギーを生み出す原子核の崩壊というのは、生態圏では起こらず太陽圏で起こる現象だといいます。だから、「原子炉内で起こる核分裂連鎖反応は、生態圏の外部である太陽圏に属する現象である」といえるわけです。実は、アフリカのガボン共和国で天然原子炉というものが発見されているので、核分裂反応が生態圏で絶対に起きないとは言えないんですが、これは特殊な例でしょう。*「第六次エネルギー革命」までは、生態圏の外部である太陽圏で核融合反応が起きていて、この外部で作られるエネルギーを、何かが媒介することで私たちは利用してきた。ところが原子力技術の場合は、媒介そのものを取り除き、外部を内部に取り込もうとする。それがこれまでの技術と全く異なる点であるというわけです。

<転載、以上>

*天然原子炉については、こちら(wikipedia)から。

<転載部分>

繰り返しますが、それでいいのかもしれません。第一回の講義でこういうことを言いました。原発は膨大なコストがかかり、核廃棄物という人間の手に負えないものをもたらす。だからこれだけでも脱原発の理由としてはほとんどよい。こうした理由で脱原発が実現されるならば、それは望ましいことです。中沢さんの「外部を持ち込んではいけない」という議論についてもこれでほとんどよいと思います。(後略)
脱原発を可能にし、人々を脱原発の方向に向けて説得するドクトリンを造ることは、政治的には大切です。これは絶対に為されなければならない。しかしそれは広い意味での政治の仕事です。原子力時代における哲学として、やらなばならないことがあるとすれば、それはこの政治の仕事に留まるものであってはならないはずです。哲学として考え抜かなればならないことがあるはずです。

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<Wikipediaより、転載>
ドクトリン(doctrine)とは、政治、外交、軍事などにおける基本原則をいう。元々の意味は「教理」、「教え」。原義は「前提とするもの」。軍事では、戦闘教義(略して単に「教義」)ともいう。
現在の日本の政治では、公約を使用して基本原則を明らかにすることが多いので、用語「ドクトリン」はほとんど用いられない。
<転載、以上>

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<転載、以上>

<この項 了・贈与を受けない生~誇大妄想とナルシシズムへ>

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